海外で活躍する日本人作家

近年、日本人の若手小説かの作品が海外で注目されています。

海外で評価されている日本人作家ときいて一番先に思い浮かぶのは、村上春樹さんでしょう。そして、2017年には、カズオ・イシグロさんがノーベル文学賞受賞という快挙を成し遂げ大きな話題になりました 

とはいえ、本記事でフォーカスするのは、上記のお二方ではありません。お二方のその下の世代が英語圏で最近目覚ましい活躍をされており、存在感を高めているのです。

日本人作家による英訳小説を紹介する本

2021年3月31日に、翻訳者である辛島 デイヴィッドさんによる『文芸ピープル 「好き」を仕事にする人々』(辛島 デイヴィッド著、講談社出版)が出版されました。ここ数年若い作家の日本文学が次々に英訳され、定評を得ていることに着目し、その流れの一助を担っている新しい翻訳書出版の流れを紹介しています。日本文学作品として、村田沙耶香『コンビニ人間』などベストセラーも生まれ、昨年は柳美里『JR上野駅公園口』が全米図書賞を受賞するなど、広く紹介され、高い評価を受けています。

日本人作家の英訳が続く

例えば、小川洋子(58)作の「密(ひそ)やかな結晶」の英訳「The Memory Police」は、2019年の全米図書賞の翻訳部門、今年の英ブッカー国際賞でそれぞれ最終候補に残りました。二賞とも世界の文学会において絶大な信頼をおかれる権威ある賞であり、受賞は逃したとはいえ、ノミネートされること自体が大きな快挙といえます。

また、11月に発表される今年の全米図書賞の翻訳部門でも、柳美里(52)の「JR上野駅公園口」の英訳「Tokyo Ueno Station」が最終候補にノミネートされています。

女性問題等が注目されていることが一因とも

米国では元来、翻訳小説はあまり人気がありませんでしたが、2000年代半ばから徐々に売り上げを伸ばしている背景があるそうです。

近年のグローバル化、人種差別反対ムーブメントに後押しされてメディアが注目する作家も多様化してきているともいえます。

ここ数年は特に、#me tooなどフェミニズムの気流が高まっている背景もあり、未だ男尊女卑思想がそこここに残る日本社会の実情を描いた作品が注目を浴びているといいます。川上未映子さん、柳美里さん、多和田葉子さんなどの女性作家が海外で賞をとったり、取り上げられているようです。